第31章 2人の部屋で初めての夜 ☆
組み立ててたせいで、ほんのり汗が滲む陣平くんから、大好きな陣平くんの匂いがたくさんした。
そしてその瞬間、陣平くんは思い出したかのようにわたしからパッと身体を離した。
もっとぎゅっとしてて欲しかったわたしは、突然離された身体が寂しくて、思わず陣平くんに縋った。
「何で離れるの?」
「や…俺、すっげえ汗かいてた」
「そんなの気にしないよ?
陣平くんの匂い大好きだもん」
「俺が気にするんだよ」
わたしがいいって言ってるのに、陣平くんは頑として譲らない。
「じゃあさ、お風呂で汗流さない?
お引越し記念に一緒に…」
「…俺、お前のこと襲う自信あるけどいいのか?」
「それは困る…」
「困るのかよ」
ワガママを言うわたしを見て、ハハッと笑った陣平くんは、わたしの頭をくしゃくしゃに撫でて言う。
「一緒に風呂は、またにしようぜ。
俺もお前も、明日は朝早えだろ?」
「ん…そうだね」
「じゃあ、俺先にシャワー浴びてくるわ。」
汗をたくさんかいた陣平くんは、スッと立ち上がりながらそう言うと、1人バスルームへと向かって行った。
そうだよね。
明日はわたしは大学で、陣平くんはお仕事。
つまり今日はこのままお風呂に入って、おてて繋いでオネンネってことか。
本当は陣平くんとしたかった。なんてとても言えなくて、わたしは悶々とクッションに顔を埋めた。
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