第31章 2人の部屋で初めての夜 ☆
こんなんで本当にやる気でるの?と半信半疑だったけど、陣平くんはわたしを背中に乗せたままサクサクとテーブルの組み立てを進めていく。
こんな風に、陣平くんがドライバーを持って何かをしているのを後ろから見ていると、ふと昔のことを思い出した。
「ねえ、そういえば昔…
陣平くんが中学生でわたしが小学生だったとき、こうやって陣平くんがお姉ちゃんの携帯分解するの、後ろから見てたよね」
「あぁ。そんなこともあったな。
お前、じんぺーくんすごぉーい!なんて言って分解するの応援してたくせに、千速がブチギレたのは俺だけ。
むしろ私の可愛いミコトを悪事に加担させたと言われて更にボコボコにされたんだよ」
当時を思い出して呆れたように笑う陣平くん。
そんな2人が、今こうして2人で住むための家具を組み立ててるんだから、人生ほんと何が起こるかわからない。
陣平くんと、こんな時間が過ごせる日が来るなんて。
タイムスリップしてから、そう思ったのは一体何度目だろうか。
陣平くんが大好きで、愛しくてたまらなくて、わたしはぎゅっと抱きつく力を強めた。
「陣平くん」
「苦しいって」
「…大好きだよ」
大好きと言った瞬間、また泣きそうになった。
「お前、俺に好きって言うたびに泣くよな」
見事に椅子とテーブルを完成させた陣平くんは、後ろを向いてわたしを抱きしめた。