第30章 ライバルとの初対面
由美とふたりで松田カップルの事をジロジロチラチラと見ていると、松田くんより先に彼女のほうが私達の視線に気づき、こっちをチラチラと見てくる。
彼女の様子がおかしいことに気付いた松田くんは、ようやく私達の方へ目を向けた。
「っな!!なんであんたがここに?!」
と、私達を見るなり心底驚いた顔して指を指し、声を上げる松田くん。
そんな彼に、私はついいつもの調子で言い返してしまう。
「それはこっちのセリフよ!松田くん!」
そう言うと、松田くんの彼女は少しだけ不安そうに松田くんに尋ねた。
「あの…陣平くん、知り合いの人?」
陣平くんって呼んでるんだ。
前に松田くんが言ってた。
幼馴染で出会ってからもう10年以上の付き合いだと。
女の子らしい見た目
親しげな呼び方
それだけで、彼にとって特別な存在なんだなと思うと同時に私とは正反対だ。なんて悲観してしまう。
そんなこととは知らず、松田くんは彼女に誤解のないように、キチンと私との関係を説明する。
「あぁ。
俺の教育係の佐藤美和子」
「ちょっと、教育係に呼び捨てはないんじゃない?」
また可愛くない態度でそう言い返してしまった私。
そんな私に、松田くんの彼女は可愛い顔して笑いながら言う。
「陣平くんの教育係なんて、絶対大変ですよね…
いつもご苦労さまです…心中お察しします」
「おい。コラミコト。どういう意味だよ」
彼女にそんなこと言われた松田くんは、ジロ…と睨む。