第30章 ライバルとの初対面
そんなイチャイチャなのか喧嘩なのかわからないやり取りを繰り広げていた時、隣の席に座ってる女性二人組がこちらをチラチラと見てくるのに気付いた。
なんだろう…
陣平くんがかっこよくて、噂してる?
と、以前プールで陣平くんのことかっこいいーって言ってたお姉さんを思い出して嫌な予感がよぎった。
わたしが隣の女性二人組をチラチラと気にしているのを見た陣平くんも、なんだ?とわたしと同じ方向に目を向ける。
するとその時
「っな!!なんであんたがここに?!」
と陣平くんはその女性二人組を見て、驚きの声をあげる。
「それはこっちのセリフよ!松田くん!」
指を刺されてムッとしながら、その女性は陣平くんをジト…と見た。
「あの…陣平くん、知り合いの人?」
まさか元カノ!?ともう何度目かわからない疑惑の目で陣平くんを見ると、彼ははあっとため息を吐きながらわたしに説明をした。
「あぁ。
俺の教育係の佐藤美和子」
「ちょっと、教育係に呼び捨てはないんじゃない?」
もう!と口を尖らせるそのショートカットの佐藤美和子さん。
名前は以前陣平くんに聞いたことはあったけれど、こう言ってはなんだが、めちゃくちゃ美人だ。
とても刑事には見えない。
お兄ちゃんの彼女のあの人もそうだったけど、警視庁って顔採用あるの!?って思うぐらい、会う女刑事はみんな美人なんだけど!
と、呑気にそんなこと思ってたわたし。
知り合いに会うかもな。なんて、冗談まじりに言っていたことが、現実に起こったのだった。
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