第30章 ライバルとの初対面
レストランのメニューを見上げるとどれも美味しそうで、わたしは陣平くんの腕に手を回しながらぎゅっとくっついて、ワクワク気分で自分の料理を選んだ。
「ねえ、どれにする?
わたし、ミートボールにしようかなー!」
「俺はカレー」
「か、カレー?!ここに来ていつものカレー?!」
「んだよ。美味いだろ。カレー」
陣平くんはそう言ってわたしの頬をむに…と掴むと、ミートボールとカレーを店員さんに注文しトレーに乗せてもらった。
「陣平くんと暮らしても、献立に困らなさそうだね。
迷ったらカレーにしよっと」
「お前のカレーなら毎日でも食えるぜ」
そんな嬉しいことを言いながら、会計を済ませたわたし達は、混雑するレストランのうち、一席空いているのを見つけてそこに座った。
「人多いねえ!」
「知り合いに会ったりしてな」
「まさか!」
あはははと笑いながらミートボールにフォークをブッ刺し、口に運ぶとめちゃくちゃ美味しい。
どうやらこのミートボールの冷凍が下のマーケットで売ってるらしい。
大量に買って帰ることが今これを食べた瞬間に決まった。
陣平くんはいつも通りカレーにご満悦のようだ。
可愛い。
いつもカッコ良すぎるくせに、カレー食べてる時は子供みたい。
幸せ気分で陣平くんのカレーを頬張る姿を眺めていると、空いていた隣の席に他のお客さんが座った。
やっぱ混んでるなー。
ほとんど満席状態だもんな…
たしかに陣平くんの言った通り、知り合いに会いそうだ。
混雑するレストランを見渡しながら無意識に知り合いを探していると、陣平くんがカレーを食べながらわたしを見た。
「ベッド、セミダブルでいいよな?」
「うん!
ようやくあの狭いシングルベッドからおさらばだね!」
「俺はシングルでも良かったけどな。」
「陣平くんたまに寝相悪いんだからね?
この間なんて、寝ながらわたしの…」
寝ながらわたしの胸を両手で揉み始めたんだから。と言おうとしたけど、ここは家族連れでごった返すIKEA内のレストラン
流石に声に出しちゃダメだと思いとどまったわたしを見て、陣平くんがニヤニヤと笑う。
「なーに思い出してんだよ。ヘンタイ」
「じ!陣平くんが悪いんでしょ?!」