第30章 ライバルとの初対面
電車とシャトルバスを乗り継いで、わたしたちはIKEAに向かった。
帰りは荷物が多くなるから、IKEAのカーシェアリングを利用して陣平くんが運転して帰る予定だ。
「うわあー!楽しみ!
IKEA来るのなんて何年ぶり?!」
「大袈裟だな」
「だってずっと実家暮らしだったんだよ?
彼氏と同棲したのだって、初めてだし…」
そこまで言うと急に照れ臭くなって、赤くなった顔を陣平くんから晒すと、彼はフッと笑いながらわたしの手を握った。
「俺だって同棲するのは初めてだよ」
「初めてじゃなかったら、わたし今ここで怒り狂って暴れてるよ?」
「…冗談に聞こえねぇぞ。」
手を繋いでそんな冗談を言いながら、エスカレーターを使って、2階のショールームへと上がった時、陣平くんはわたしの手をグイッと引いた。
「?!ショールームはこっちからだよ?」
「腹減った。
ちょうど昼時だし飯にしようぜ」
陣平くんが指差す方向には、大きなレストランがある。
そしてちょうどそのとき、わたしの腹の虫も盛大に鳴り響いた。
ぐぅうぅ…
「ほら。お前も腹減ってるだろ?」
「腹減った!!飯食う!!」
「やめろその言葉遣いー!」
陣平くんの乱暴な言葉でワザとそう言うと、陣平くんは笑いながらわたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。