第30章 ライバルとの初対面
陣平くんとふたり、仲良くダンボールを開封し残りは一つ。
「これが終わったらIKEA♪
陣平くんとIKEA♪」
「いいから早く開けろって」
ふんふんと鼻歌を歌いながらそのダンボールを開けると、中には陣平くんの工具セットの他になぜかあの大人のエチケットの箱が5つも入ってる。
「…陣平くんとお兄ちゃん、似たもの同士だね…」
「はあ?なんだよそれ」
お兄ちゃんの引っ越しを手伝ったとき、こんなふうにダンボールからゴムの箱を見つけたのを思い出した。
陣平くんに、誰と使ったことあるんだ?と聞かれた答えは、未だ陣平くんには伝えられないまま。
陣平くんと使ったんだよ。
タイムスリップする前も、した後も、わたしの初めてを奪ったのは陣平くんなんだから。
そう思うと、どうしようもなく好きだと言う気持ちが溢れてきて、わたしは陣平くんにぎゅっと抱きついた。
「ん?どうした急に」
「陣平くん好き…大好き」
「そんなこと抱きつきながら言うってことは、IKEAに行くの諦めたのか?」
「え?」
なぜ諦めたことになるの?
ぽかんと陣平くんを見上げると、陣平くんはわたしの頬に手を添えた。
「じんぺ…っ…んんっ…」
問答無用でわたしの唇を奪った陣平くん。
新居で初めてのキスに、わたしは驚いて持っていたゴムの箱を床に落とした。
「ん…ミコト…」
陣平くんはわたしの名前を呼びながら、角度を変えて何度も何度も触れるだけのキスをした。
ちゅ…っ
チュ…
「ん…じんぺ…く…」
「口開けろ…」
伏し目がちな瞳で見つめられながら命令されると、抗えるわけもなく、ゆっくりと口をちょっとだけ開いたわたし。