第30章 ライバルとの初対面
松田side
引っ越し業者の家具や家電の運び込みは、思っていた以上に速く終わった。
まあ、よく考えてみれば元々ワンルームだったんだ。
持ってきたものと言えば、テレビにテレビ台、ローテーブル、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジぐらいだ。
新居の間取りは1LDK
決して広くはないが、それでも俺のワンルームで使っていた荷物を入れると、スペースがまだまだある。
ダイニングテーブル、少し広めの新しいベッド、テレビの前にソファーも欲しい。
ミコトと始める新生活に、ガラにもなく心躍っている俺は、引っ越し業者が帰るのを見送ると、段ボールの荷解きを始めた。
「え!引っ越し業者の人、もう終わったの?
早いね!」
バスルームと玄関周り、そして寝室で2人の衣服の片付けをしていたミコトが、LDKに戻ってきて目を丸くする。
「お前こそ、もう寝室の片付けも終わったのか?」
「うん。今日持ってきた服は全部クローゼットにしまったよ?
まだまだ入るから、わたしの服もう少し持ってきてもいい?」
そう言いながら、俺の手を引いて寝室に連れてきたミコト。
クローゼットを見ると、ミコトの几帳面さが全面に出ている。
ハンガーにかけているものは、色別季節別に並べ、チェストに入れているものは、綺麗にシワひとつなく畳んで入れてある。
「お前と住んだら生活整いそうだな」
後ろからミコトを抱きしめながらそう言うと、ミコトはふふっと可愛く笑った。
「刑事さんは生活乱れがちだし、陣平くんズボラなとこあるから」
「否定はしねえな。
頼りにしてるぜ?ミコトさん?」
「まかせなさい」
そう言って2人で顔を見合わせて笑った。
なんて、幸せなひとときなんだろう。
「よし!じゃあ残りの片付けもある程度終わらせて、早くIKEA行こう!」
「どうしてもIKEA行きてえんだな」
そんな俺のツッコミをスルーしながら、ミコトは鼻歌を歌いながらまたダンボールの開封を始めた。
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