第29章 この部屋で過ごす最後の夜 ☆
ムキになって言い返して来た佐藤は、プンプン怒りながら部屋を出て行こうとする。
懲りてねぇ俺は、平然とそいつに言ってのけた。
「もうまとめ終わったんで、帰っていいよな?」
「っ…勝手にしなさい!」
バタンッ!!
「…何怒ってるんだよ」
乱暴に締められたドアを見て、つくづく女はわからねぇなと思いながら、俺はそのわからない女の代表でもある愛しの彼女にメールを打った。
「今から帰るわ」
すると、ものの2秒で返事のメールを受信する。
「お疲れ様!待ってる!」
その余りの速さに、俺は携帯を握りしめながらフッと笑みをこぼした。
「待ちくたびれてんな、これは」
愛しの彼女が待つ自宅に早く帰って、引っ越し作業を手伝ってやらねぇと。
そう思いながら、俺は高速で今日の日誌を書き上げると小走りに警視庁を後にした。
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