第4章 俺と萩原
今思えば、酒なんて飲まなきゃよかった。
もっと萩原と、みんなと、いろんな話をすればよかった。
まさかこの日が、同期5人集まる最後の飲み会になるとは、思ってもみなかったんだ。
日付が変わる前まで飲んで、店を出た時、萩が俺に言った。
「陣平ちゃん、ミコトに悪い虫がつかねぇように頼んだぜ?」
「…テメェで面倒見てやれよ」
今思えば、こんな何気ない会話すら、後から起こる悲劇の前兆だったのかもしれないと思う。
俺はこれからもずっと、隣に萩原がいる未来しか見えていなかった。
小学生からずっと、10年以上もずっとそばにいたんだ。
萩原以上に親友と呼べる友達はいなかった。
これからもずっと、
当たり前にバカな話をして、
笑い合って、
たまに助け合って、
一緒に生きていくんだと思ってた。
明日が来るまでは。
灰色の11月7日が来るまでは