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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第28章 はじまりの一歩




佐藤side


「あら?非番なのにスーツなの?」


その言葉の中には、松田くんの私服が見れなくて少し残念。
という自分の気持ちが含まれてることに、私はもう気付いていたのかも知れない。

いつもと変わらないスーツ姿で現れた彼。
なんならいつもよりも少しだけ綺麗に着こなしている気さえした。

その理由はすぐに彼が教えてくれる。


「あぁ。ビシッとキメて、愛しいカノジョとデート中だったのに、誰かさんが呼び出しすっから」


愛しいカノジョ
そう言われて、以前張り込み中に松田くんが会っていた女の子を思い出した。

可愛らしい顔した小柄な女の子。
暗いところで遠目から見ただけだったから、ハッキリとは見えなかったけど、私よりもずっと愛嬌がある子だと思う。


「悪かったわね。イチャイチャラブラブの邪魔して」


そんな悪態をつく私は可愛くない女代表だ。

思えば今まで、可愛さなんて意識したことなかったな。
昔から男勝りで、何でもハッキリ言うタイプで…
だけど、松田くんは女の子らしい子がタイプなんだ。


「しゃーねぇから許してやるよ」


私のこのそっけない態度を怒りもせず、松田くんは鼻歌を歌いながら窓の外を見た。

ご機嫌ね。
さっきまで、愛しいカノジョとやらに会っていたわけだから、いつものあの不機嫌粗暴な松田くんはいない。

私といるときはいつも気だるそうにしているくせに。

そう思うと、何故か無性にイライラしてきた。


「そんなに好きなんだ。彼女のこと」

「はあ?当たり前だろ?」


何言ってんだ、あんた。という顔をして私を見る松田くん。



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