第28章 はじまりの一歩
好きな理由か。
そんなもの、今並べたらキリないぜ?
そうは思いつつも、佐藤が何故か不機嫌な理由もわからず、俺はその何通りもあるミコトを好きな理由から、いくつかピックアップをした。
「そーだな…
ちっせぇ頃から俺の後ろ着いてきて、泣き虫で、お人好しで、危うくて。
俺が守ってやるしかねえって思ったんだよ。」
「…幼馴染なんだ」
「まあな。もう10年以上の仲。
…あと、あいつといると癒される。それが全て」
以前ミコトに、わたしのどこが好きなの?と聞かれた時に答えた理由
ミコトといると、癒される
それをまたそのままなんの脚色もせずに言った。
すると佐藤はしばらく黙った後、ハンドルを切りながらそっけない相槌をうつ。
「…あっそう。」
「あっそうって、聞いてきたのあんただろ?
恥ずかしいこと言わせやがってよ」
「…あとちょっとで本庁だから。
仕事脳に切り替えてよね」
「言ってること、めちゃくちゃだぜ…」
何故か叱られて理不尽だと思いながら、俺たちを乗せた車は本庁の駐車場に到着した。