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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第28章 はじまりの一歩




そのとき、俺の携帯が鳴り響く。


「うお。佐藤美和子…」


着信画面に表示されたその名前を見て、俺は思わず声を出す。

突然女の名前を呟いた俺を、隣でミコトが首を傾げて少し眉を顰めた。


「だれ?…まさか元カノ…?」

「残念。同僚の刑事。
まさか緊急招集じゃねえだろうな…
無視すっか」


そう言って電話を切ろうとする俺を、クソ真面目なミコトが嗜めた。


「ダメだよ!仕事ならちゃんと出なきゃ」

「…しゃーねぇな。」


3つも年下のミコトに可愛い顔して怒られちゃ、大人しく従うしか無い。

俺は通話ボタンを押して気怠いの一切を隠さない声のトーンで電話に出た。


「なんか用?」

「あのねぇ、それが教育係に対する態度?」


開口一番の俺のその一言に、電話口の佐藤は呆れたように嗜めた。

そんなこと言われたって、俺は今日は非番だし、彼女と同棲する準備をしている最中だ。

仕事よりも、そっちの方が数倍大事だった。

教育係だろうが上司だろうが、俺の貴重な休日を邪魔しに来たやつというのには変わりない。


「用がないなら切るぜ?」

「ちょ、ちょっと待ちなさい!
私が用無いのに電話すると思う!?
緊急招集よ!」

「えー…」


やっぱそうか…
嫌だ。行きたくねぇ。

そんな気持ちを全部声に乗せる俺に、佐藤が電話口で怒る。


「えーじゃない!
今どこ?車で拾ってあげるから場所を教えて?」

「…杯戸町の駅近く」

「じゃあ、駅で拾うから!
いいわね?ちゃんと来るのよ?!」

「わーったよ…」


ったく。だから出るの嫌だったんだよ。
十中八九呼び出しだとわかっていたから。


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