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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第28章 はじまりの一歩




両親への打診と、お兄ちゃんへの報告が終わると、わたしたちはわたしの実家を出た。


「じゃあ、これで失礼します」

「ええ。またいつでも遊びに来てね?」


母に挨拶をして玄関を出たわたしと陣平くん。
駅に向かうために曲がり角を曲がった瞬間、陣平がその場に座り込んだ。


「あー…」


この光景には覚えがある。
わたしの母に初めて、付き合ってると話したあの日と全く同じだ。


「陣平くん、大丈夫?」


彼の顔を覗き込みながら、わたしも腰を下ろして彼の癖っ毛に撫で撫でと触れる。


「大丈夫じゃねぇよ…
口から心臓飛び出ると思ったぜ」

「緊張していないって言ったくせに」

「バァカ!!緊張しないわけないだろ?!
俺はこう見えて繊細なんだよ」


そんな嘘かほんとかわからない冗談を言った陣平くんは、心を落ち着けようと長い息を吐いた。


「はぁ…
じゃあ、行くか」

「え?どこに?」

「早速、家探しに行こうぜ
今日を逃すと次いつになるかわからねぇから」


そう言って、わたしの手を握る陣平くんは、本当に緊張していたみたい。
じんわりと、手のひらに汗をかいてる。

それが愛しくて、嬉しくて、わたしは喜んでその手を握り返した。


「陣平くん」

「んー?」

「だいすき!」


そう言って腕にしがみつくと、陣平くんは呆れた顔して笑った。


「バァカ」



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