第27章 2ヶ月分の大好き ☆
わたしのそんな言葉に、陣平くんは たしかに。と言ったあと、わたしを抱きしめてはあーっとため息をついた。
「一緒に住むこと、そもそも許して貰えっかな。お前の両親に」
「陣平くんって意外と心配性だね」
「当たり前だろ?
今年1番の大勝負だぜ…お前の家にお前と一緒に住みたいって言いに行くイベント」
たしかに。わたしにとっても両親に男の人と同棲したいとカミングアウトするわけだから、大イベントだ。
わたしは小さい頃から真面目で優等生だったから、まさかあのミコトが学生のうちに男と一緒に住みたいなんて言い出すとは…
研二じゃあるまいし!!
なんて言いそうではある。
実際、お姉ちゃんはまだ実家にいるしな…
両親にとっても、初めてのイベントだ。
「もし、反対されたらどうする?」
「…良いって許してもらえるまで何度も通う」
「陣平くん…」
諦めるなんて1ミリも考えず、即答でそう答えてくれたことが嬉しくて、わたしは陣平くんにぎゅっと抱きついた。
「両親、どんな感じ?
娘はやらん!って言うタイプ?」
そうは言っても気になる陣平くんは、わたしに両親についての事情聴取を始めた。
「んー。父は寡黙かなー。
萩原家で唯一、物静かな気がする。
母は前に会ったことあると思うけど、とにかく楽観的でよく喋るよ?」
「親父さんが手強そうだな…」
「でも両親の前に、お姉ちゃんもいるよ?」
「千速?」
「うん。お姉ちゃんは昔から、ミコトをやる
男は私が品定めするからな!って言ってたから。
陣平くん、お姉ちゃんに品定めされちゃうよ?」
「千速か…クッソ…あいつの携帯やパソコン分解したこと、今になって後悔するぜ…」
はあぁ…と、過去の自分の悪行を悔いて項垂れる陣平くん。
まあでもきっと、うちの家族は万々歳だろう。
お兄ちゃんのことがあってから、わたしのやることなすことに否定したことないから。
研二の分も、幸せになってほしい。
そう思っているに違いない。