第4章 俺と萩原
そして、俺と萩も警察学校に入校。
同期の奴らは最初はいけ好かなかったが、卒業の頃には謎の戦友感が芽生えていた。
萩は俺に言った。
「今度の休み、俺の引っ越し手伝ってくれよ」
めんどくせぇと思いつつも、まあ暇だし。
そんな軽い気持ちで萩のマンションに向かうと、萩の隣に女の後ろ姿を見た。
一瞬で、誰だかすぐわかる。
ミコトだ。
2年前、海であいつを振った時より、もっと大人びて、髪型もメイクも、もうあどけなさなんかどこにも無かった。
ミコトがわざわざ重そうな段ボールを持ち上げようとしていたから、俺は咄嗟に後ろからそれを代わりに持ち上げた。
フワッとミコトから良い香りがして、思わず胸がギュッと締まった。
「…じ、陣平くん。」
「久しぶり」
陣平くん
と呼ばれるのが久々すぎて、どんな顔していいかわからなかった。
ミコトもそれは同じなようで、顔を赤くして焦ったように久しぶりと返したが、声が裏返っている。
萩はそんな俺たちを、いつもの少し余裕ぶった笑顔で優しく見ていた気がする。