第4章 俺と萩原
小さかったミコトは、いつの間にか背が伸びてた。
ぺったんこだった胸はちゃんと膨らんでいて、くびれも出来、
ちゃんと女の身体になってた。
顔立ちも萩や千速に似てどんどん綺麗になっていく。
ミコトの話題があがり、ダチがミコトの顔がーとか胸がーとか、脚がーとか言うと、萩が決まってそいつにヘッドロックをかます。
だけど俺は正直、拳で思い切り殴ってやりたい衝動に駆られた。
そんな目であいつを見んなよ。
そう思うのは、妹だと思っているからか?
なら、ミコトを見ると無性に身体に目が行くのは何でだ。
髪をアップにすると、うなじに目がいく。
顔を近づけられると、思わず背けてしまう。
太ももを出していると、隠したくなる。
可愛いなんて、もう気軽には言えなくて、俺はミコトが綺麗になればなるほど、昔みたいに可愛い妹だと言えなくなった。
あの時、海でミコトの水着を他の奴に見られたくないと言った時
次の日ミコトに好きだと言われた時、
咄嗟に嘘をついた。
妹としか見れないと。
本当はもう女としてしか見れない。
だけど、俺は千速が好きで、ミコトの事をこれ以上女として見ちまうと、物凄く悪い事をしているような気分になり、ごめんとだけ言った。
そして俺は、ミコトから距離を取った。
千速が警察学校に行き、半年会わないでいると、次に千速に会った頃にはもう何も思わなくなっていた。
初恋なんて、所詮そんなもんだ。