第26章 幸せな提案
驚いて目を見開いていると、そのまま陣平くんの唇がわたしの唇に重なる。
実家の玄関で陣平くんとキス。
この玄関は、実は陣平くんと初めて会った場所。
あの日、小学生の頃、学校帰りのお兄ちゃんと一緒に、この玄関から顔を出した陣平くん。
ほっぺに絆創膏をつけて、ヤンチャそうで、自信たっぷりのあの笑顔。
今でも、鮮明に思い出せる。
初めて会った日のことを思い出していると、陣平くんの唇がゆっくり離れた。
「おやすみ、ミコト」
そしてそのまま、玄関のドアがパタリ…と閉まった。
「ぅ…好き…」
そんな破壊力抜群のおやすみを彼氏からもらったわたしは、その場ではあぁ…と力が抜けて座り込み、さっきまでの陣平くんのぬくもりが消えないように自分の身体を抱きしめてた。