第26章 幸せな提案
ゆっくりと唇を離すと、ミコトはへへっと笑いながら俺を見た。
「幸せすぎて、やばいね」
「俺とおんなじこと考えてんじゃねぇよ」
愛しくて、愛しくてたまらなくて、俺はまたミコトの唇を奪う。
夜の公園で、職務中の刑事が何やってんだ。
流石の俺でもそう思うが、
目の前には愛するカノジョ
しかも1ヶ月ぶりに会えた
そして一緒に住む約束をたった今取り付けた
この条件が揃っていて、何もするなと言う方が無理な話だ。
そう開き直りながら舌をミコトの舌に絡めると、ぴく…と小さい舌が反応したかと思えば、珍しく積極的に俺に応えてくれた。
「っん…陣平く…」
「…キスすんの、久しぶりだな」
唇を離して、愛しいミコトの髪を撫でながらそう言うと、ミコトは顔を赤くして俯いた後、少し迷いながら言う。
「うん…あのね、引かないでね?」
「何が?」
「わたし、陣平くんとしたくて死にそう」
したいって、俺が今頭にある「したい」なのか!?
いや、でもそう思って違ってたら俺がヤリてぇだけじゃねぇか。
そう思い、あえてミコトの口から言わせたくて意地悪な質問をする。
「したいって、キス?」
「ううん。それ以上ぜんぶ。」
ミコトは即答でそう答えると、俺の胸に擦り寄ってきた。
っ可愛い…
夜の公園、周りに人はいない。
多分、今職務中じゃなきゃ確実に抱いてたと思う自分が怖え。
「お前、そんなこと言われたら今ここで抱いてしまいそうになるだろ…」
「陣平くん、クビになっちゃう?」
「バレたら100%免職だろうな」
キスまでしておいて何言ってんだって話だが、これ以上はさすがにマズイと馬鹿な俺でも分かる。
ミコトは、しゅんと俯いて残念そうに言った。
「じゃあ、がまんする」
「俺はお前に我慢させてばっかりだな」
会いたくても、最近は満足に会えない。
触れたくても、触れられない。
寂しい思いばかりさせちまう。
流石の俺でも罪悪感だって感じる。