第26章 幸せな提案
しかし時刻はただいま25時。
インターフォンは鳴らせねぇし、ミコトはもう眠っているかもしれねぇ。
そう思いながらも、ミコトの部屋の窓を見上げ、ミコトに着信を飛ばした。
コール音が何度か鳴ったあと、ミコトの眠そうな声が電話に出た。
「んんー…じんぺーくん?」
「ああ俺。悪い、寝てたか?」
「んー。寝てたあ…
どうしたの?何かあった?」
「…窓の外、見てみろ」
「え…?窓ぉ?」
眠そうな声で、むくっと身体を起こしたミコト。
俺がずっと眺めているミコトの部屋の窓に、ミコトの姿が映った。
1ヶ月ぶりに、顔を見たんだ。
「じ、陣平くん!」
「降りてこいよ。」
そう言うと、ミコトはすぐに窓を離れて家の階段をバタバタと駆け降りる音が外まで聞こえてきた。
おいおい。
家族が起きるぜ…
そう思いながら、大好きなミコトが降りてくるのを待っていると、玄関のドアがガチャリと開いた。
「陣平くん!!
…会いたかったよ…」
そう言って玄関を飛び出したミコトは、俺の身体に飛びついてくる。
寝てない俺でも受け止め切れるぐらい、軽い身体で。
抱きしめるとミコトの匂いがした。
1ヶ月ぶりに感じたミコトの体温が愛しくて、俺は折れそうなくらいミコトの身体を強く抱きしめた。