第26章 幸せな提案
確かに、医者になると言うことはプライベートが無くなることだとよく言われる。
刑事もきっと同じなんだろうな。
そう思うと、この先わたしたちはもっと会えなくなって、仕事に忙殺されていつか…
「無理!絶対やだ!」
「自由を手に入れるには開業するしかないよねー。」
「何年後に実現するのよそれ…」
はぁ…とため息を吐くけれどわたしの悩みはもう一つある。
むしろこっちの方が、自分にとって死活問題かもしれない。
「…陣平くんと1ヶ月もしてない」
「は??」
情緒不安定なわたしは、机に突っ伏しながらそんなことを口走る。
突然ぶっ込まれた下ネタに、アユは半笑いでわたしを見た。
そしてからかうように笑う。
「欲求不満なんでちゅか?ミコトちゃんは」
「だって!!1ヶ月だよ?!
前は会えば99%の確率でシテたのに、そこから1ヶ月も何も無いなんて……
つらすぎる…」
「気持ちはわからんでもないけどねぇ」
「陣平くんに会いたい。
陣平くんに抱きつきたい
陣平くんにぎゅってしてもらいたい
陣平くんとキスしたい
陣平くんとエッチしたい…
エッチしたいよぉおおお!!!」
「ちょっ!ミコト!声大きいって!」
思いの丈を吐き出したわたしは、即座に電池切れ。
また、バタリと机の上に倒れ、目を閉じて陣平くんを思い出す。
電話は3日に一度のペースでくれるし、メールだってくれる。
忙しくて大変なのもわかってる。
だけど、会いたいよ。好きなんだもん。
タイムスリップしてきた時は、ただ陣平くんの隣に居られればいいと思ってた。
それから彼女になって、陣平くんにもっと触れてほしいと思うようになった。
配属される前は、生きてさえいてくれれば会えなくても平気と思っていたのに、欲張りになっちゃったな…
はあ…とため息をつくわたしを見て、アユが呆れた声を漏らした。
「重症だな、これは」