第25章 2年も早い異動
そう思ったが時すでに遅し。
さっきまで落ち込んでいたミコトは180度一変し、今度は嬉しそうに俺に尻尾を振ってくる。
「プロポーズの方が可能性高いの?
別れ話より?
ね?陣平くん、ほんと?ねぇ!」
「…だから、そう言っただろーよ」
「う、嬉しいー!!」
今度は喜びながらうぇえと泣くミコト。
結局泣くのかよ…
マヌケな泣き顔が可愛くて思わず口角を上げると、俺は袖でミコトの涙をぶっきらぼうに拭った。
「ミコト。ちゃんと聞け?
一課に異動になる。だから、会える頻度が多分今までと比べて減ると思う。
勤務体系も不規則になるし、連絡も返せねぇことが多くなるかも」
そうやって羅列してみると、爆処は命の駆け引きさえなけりゃあホワイト企業だったのかも知れねぇな。
捜査一課は警察内部でもブラック企業ナンバーワンだ。
まあでも、ミコトには悪いが、我慢してもらうしか…
そう思っていると、ミコトはあっけらかんと首を傾げながら俺に言った。
「大丈夫だよ!
…生きてさえいてくれれば。
会えなくても、生きててくれればそれでいい。」
笑顔の中に、ほんの少し悲しみを背負いながら、そう言った。