第25章 2年も早い異動
そう思った俺は家とは反対方向にミコトの手を引いた。
「え?うち、こっちだよ?」
「話があるって言っただろ?
近くの公園のベンチに座ろうぜ」
そう言うと、ミコトは一瞬びくっと怯えた表情をしたあと、大人しく俺に手を引かれるがまま着いてきた。
公園は幸い誰もいない。
まあ時間が時間だから当たり前か…
時計を見ると22時半。
とっとと話して、帰してやらねぇとな。
そう思いながらベンチに座ると、先ほどから静かなミコトは、さらに口数が減り、俺の隣に腰掛けてずっと俯いている。
そしてミコトの目を見ようとするが、パッと逸らされる。
「ミコト。話っつーのは…」
本題を切り出そうと、そう前置きしたあと、俺はミコトの顔を見てぎょっと目を見開いた。
ミコトは俯いたままボロボロと涙を溢している。
「おっ、おい…どうした?」
ミコトの涙に弱い俺は、途端におろおろしながらミコトの頭を撫でた。
異動するのを伝えるのはこんなに難しいことか?!
と心の中で内心焦りつつも、ミコトが泣いてる理由がわからず、ミコトに問いかける。
「ミコト?
泣いてちゃわかんねぇだろ?」
「…じんぺく…
っ…わたし、別れたくないよ…」
「…は?」
別れる?!誰が??
ミコトが言った言葉の意味がわからずに目を丸くしていると、ミコトは泣きながら続けて言う。