第25章 2年も早い異動
松田side
ミコトが言っていた、米花駅の近くのダイニングレストランに着いた。
店の前を見ると、ミコトが1人で俺を待っている。
どうやら他の女子会メンバーは先に帰ったらしい。
「よお」
「陣平くん…どうも…」
いつもなら、陣平くんー!と俺の名前を嬉しそうに呼びながらぱあっと顔を明るくするミコトだが、今日はずーんと落ち込んだ顔して俺を見た。
「?なんだよその顔。
女子会、楽しんでたんじゃねぇのか?」
「…楽しかったよ?途中までは…
はぁ…」
そう言いながら、大きなため息を吐くミコト。
まぁ何だか知らねぇが女子会で何かあったんだろう。
女ってめんどくせぇからな…
そう思いながらミコトの手を握り、ミコトの家の方向へと歩き出した。
ミコトがこんなにテンション低いのも珍しいな。
異動のこと、今日言わねぇと明日から俺は捜査一課だし…
落ち込んでいる様子のミコトに俺の話を聞いてもらうのは申し訳ないが、しゃあねぇな。
ミコトは何も言わずに俺に手を握られたままとぼとぼと俺の後ろをついてくる。
「ミコト、女子会で何食ったんだ?」
「…パスタとピザ」
「…美味かったか?」
「ふつう」
っ会話が!!!続かねぇ!!!
なんだ?!いつもはうるさいぐらい、陣平くん陣平くんって今日あった出来事を話してくるのに。
異動の話をしたくて、切り出すタイミングを見計らっているが、とてもそんな雰囲気にならない。
そうこうしているうちに、もうすぐ萩原家に到着だ。
これは、歩きながらじゃなく、ちゃんと改まって話をするほかねぇな。