第25章 2年も早い異動
と、だんだん胸が高鳴って来たわたしを、友人の中でも一際クールな子の一言が一気に正気に戻す。
「まあ、もしくは別れ話とか?」
全く悪気のないそのクールな一言に、ピシッ…っとその場の空気が一瞬で凍るのが見えた。
「…そっちのほうがありうる!!!!」
ガーーーン!と上から岩が落ちてきて頭にぶち当たった気分で、わたしは思わず頭を抱えた。
そうだよ!
陣平くんがわたしに、俺と結婚してくれ。ってプロポーズする姿よりも
やっぱり仕事に集中したいから別れてくれってフラれる未来の方が容易に想像できる。
そういうことなの…?陣平くん…
電話で話せないって、せめて別れ話ぐらい会ってしてやろうと言う優しさ??
そうなの!?
ありそうすぎて怖い…
感情の起伏が激しすぎるこの2択に、みんなが慌ててフォローする。
「だっ、大丈夫よ!陣平さん、ミコトのこと好きすぎてたまらないって感じだったし!」
「そ、そうそう!新出くんとのキスを自分が間に入って阻止しちゃうぐらいだしねぇ?」
「…そうかな?」
「そうそう!!」
みんなが必死にフォローしてくれたけれど、わたしは正直、プロポーズと別れ話だと2:8の確率で別れ話だと思っている。
別れ話…陣平くんから別れようって言われるの…?
怖すぎるつらすぎる…
わたしの幸せ全開の妄想は、一瞬にして嫌な妄想に早変わりし、半泣きになりながら30分は一瞬で過ぎた。