第25章 2年も早い異動
候補が一つも思いつかず、浮かない顔をしてみんなが飲んでる席に戻った。
「陣平さん、なんだってー?」
「あぁ…なんか話があるから、迎えに来て家まで送るって」
「話?わざわざ?」
「うん…なんか、電話じゃなくて直接伝えたいことがあるって。
何だろう…」
うーんと首を傾げながら、一つも心当たりのないわたしは話の内容の予想すら出来ない。
しかし予想が出来なかったのはどうやらわたしだけらしい。
アユが一際大きな声で、まさかの予想を繰り出す。
「ミコト!それって!!
プロポーズじゃない?!」
「…へ?!!」
「直接会って話したいなんて、それしかないじゃーん!」
うぉおお!とテンションが爆上がりする女子たち。
ぷ、プロポーズ?!このタイミングで?!
何で今日…??
しかも家まで帰りながら!?
「で、でも今日はわたしの誕生日でも陣平くんの誕生日でも無いし、付き合った記念日でもないよ!?
そんな日にプロポーズする!?」
「そんな、何でもない日をプロポーズ記念日にしたいのよ!!」
「そ、そんなもん!?!」
でも確かに、陣平くんはロマンチックなシチュエーションを用意するほど乙女心を熟知しているとは思えない。
なんなら何でもない日にふらっと「結婚するかあ」なんて言いそう。
みんなに囃し立てられ、わたしもだんだんその気になってくる。
ど、どうしよう。
プロポーズって…あの、憧れの片膝ついて指輪はめるアレ!やってくれるの!?
あの陣平くんが?!
婚約指輪とか、一回分解してそうな陣平くんが?!