第25章 2年も早い異動
だけどもし、陣平くんにプロポーズされたら…
と、宙を見上げてプロポーズの言葉を妄想するわたしを茶化すようにアユが笑う。
「ミコトの名字、萩原から松田になるのか〜」
「ちょ、気が早いから!」
アユにそうツッコミながらも、妄想はどんどん膨らんでいく。
陣平くんのプロポーズ、どんなだろう…
下手をすれば婚約指輪を贈ることすら知らないんじゃないか…?
いや、でもこの際婚約指輪はいらない。
二人のおそろいの指輪があれば…
そしてそこには、陣平とミコトの名前が掘ってあって、わたしの名字は萩原から松田へ…
松田ミコト…ずっとなりたかった名前だ。
陣平くんのお嫁さんになれる日も、夢じゃない?!
えー!どうしようどうしよう!!!
陣平くんと結婚…
頭の中でウェディングドレスの自分を妄想してニヤニヤしていると、不意にわたしの携帯が鳴った。
ピリリリリリ
「ん?」
着信画面には、今まさに妄想していた相手 松田陣平 の文字がある。