第24章 風邪引き彼氏 ☆
しばらくするとミコトがタオルを持って戻ってきた。
「これ、汗かいたでしょ?
身体拭いてあげるから脱いで?」
「…」
言われるがまま、俺は着ていた白いTシャツを勢いよく脱いだ。
俺があまりにも出し惜しみなく裸になったのに驚いたのか、ミコトは一瞬目を丸くしたと思えば徐々に顔が真っ赤になっていく。
「脱いでって言ったの、お前だろ?」
「そうだけど!…ドキドキする」
顔を赤くしながらそうこぼし、ミコトは蒸したタオルを俺の身体に滑らせていく。
確かに、熱を出して汗をかいたせいでちょっと気持ち悪かったんだよな。
こうして、ミコトに丁寧に身体を拭かれると、気持ちいい…
と同時に思う。
今まで俺だけが裸でいるこんな状況はなかったから、急に恥ずかしくなってきた。
自分が脱ぐときは、ミコトも問答無用で脱がせていたからな…
気恥ずかしくて、何も喋らねぇでいると、ミコトが照れたように笑った。
「陣平くんって、筋トレとかしてるの?」
「まあ、多少は?」
「お腹もちゃんと6つに割れてる…
わたしも鍛えようかな」
その何気ない言葉を聞いて、俺は即座に却下を下す。
「やめとけよ。
筋肉ついて、お前のマシュマロみたいな肌が固くなったらどうすんだ」
「マシュマロ!?太ってるって言いたいの!?」
むきー!と怒りながら、病人のはずの俺の頬をむにっと摘むミコト。
んっとにこいつは、1から10まで説明しねえとわからないやつだな…
「なんでそうなるんだよ。
抱きしめたとき柔らかいから癒やされるって言ってんの。
お前は太ってないしむしろ痩せすぎ。」
そんな言い合いをしながら、俺の肩、背中、胸、お腹を拭いたミコトは満足げに立ち上がった。
「じゃあ、もう一回蒸しタオル作ってくるから、下は自分で拭いて?
わたしはその間にシャワー浴びてくる」
「んー。」
そんな気の抜けた返事をすると、ミコトがまた蒸しタオルを作って持って来てくれた。
ミコトが部屋を出て行ったのを確認して、俺は自分の下半身にかいた汗をタオルで拭った。
ミコトがシャワーから帰ってくるのを心待ちにしながら。