第24章 風邪引き彼氏 ☆
バッと布団をかぶってふて寝をしようとする陣平くんを、わたしは慌てて止めた。
「待って!ごめん!食べさせてあげるから!」
「…じゃあ食う」
っ…可愛すぎる…
普段は粗暴な猛獣彼氏が、今日は可愛らしい小動物…小さいリスみたいだ。
陣平くんに、リスの耳としっぽが見える…
と、自分の彼氏の可愛さに悶ながら、わたしはれんげでお粥を掬った。
「熱いかな…」
そう言いながら、レンゲに乗ったお粥にふーふーと息を吹きかけたあと、陣平くんの口元に持っていってあげた。
「はい、あーん」
口元に差し出されると、陣平くんは何も言わずにぱくりとお粥を口に運んだ。
可愛い…可愛いいいい!!!
陣平くんの可愛さで心を何度も撃ち抜かれたわたし。
こんな風に大人しく、あーんされたお粥食べる陣平くん…
可愛すぎるよ…
はあぁ…と胸がいっぱいになりながら、わたしは続けて残りのお粥を陣平くんに食べさせてあげた。
陣平くんが、腹減ったと言ってたのは本当だったらしく、お椀一杯分のお粥を難なく完食。
「じゃあ、このお薬飲んで?」
「ん…」
差し出された錠剤を口に運び、水で流し込んだ陣平くんは、そのままコテ…とわたしの方へ身体を倒した。
「ど、どうしたの!?」
突然悪化した?!と焦って陣平くんを見ると、陣平くんは目を閉じて、噛み締めるように言う。
「幸せだな」
「…風邪引いたのに幸せなんて、へんなの。」
陣平くんが幸せだと言った瞬間、嬉しすぎて泣きそうになったのを、つい誤魔化してしまった。
わたしも、風邪の陣平くんのお世話を、こんなに近くで出来て、この上なく幸せだから。