第24章 風邪引き彼氏 ☆
陣平くんが眠っている間に、溜まっていた洗濯機を回した。
陣平くんは、器用なくせにズボラなところあるからな…
THE 男の一人暮らし という具合に散らかった水回りを見て、ふと思った。
一緒に住んだら、毎日わたしが家事してあげるのにな…
そして同時に思い出す。
わたし、タイムスリップする前、陣平くんに片想いだったとき、毎日のように通って家事して御飯作ってあげてた…
今思えば、めちゃくちゃ尽くしてたじゃん陣平くんに!!
そうツッコミを入れられるようになるほど、わたしにとって今陣平くんがすごく近い存在になった。
前は遠くて、遠くて、必死に追いかけて手を伸ばしても届かなかったのに。
本当に、奇跡のようなこの時間は紛れもなく現実で、わたしは幸せを噛み締めながら水回りの掃除を終わらせた。
そして、お粥の準備に取り掛かる。
萩原家では、風邪を引くといつも卵粥をお母さんが作ってくれた。
うちが倒産してお金がない時だって、ちゃんと卵を入れてくれた。
陣平くんにとっても、この味が安心できる味になればいいな…
陣平くんが元気になりますようにとひたすらに念を込めながら作ったお粥は思った以上に美味しそうにできた。
わたしの夕飯もこれでいいや。
そう思いながら器によそい、水を入れたコップと薬とともにトレーに乗せると、陣平くんが眠るベッドに持っていった。
「陣平くん?」