第24章 風邪引き彼氏 ☆
そう言うと、ミコトは俺をゆっくりとベッドに寝かせた後、突然医者らしい顔した。
「じゃあ、良くなるまでちゃんと寝ててください!
ご飯は食べられる?食欲は?」
「割と腹減った」
「じゃあ、お粥も作るから寝てて?」
そう言って俺に布団をかぶせると、ミコトは粥を作るためにキッチンに向かった。
風邪をひくのも久しぶりだが、誰かに看病されるのも久しぶりだな…
看病といえば、あの頃を思い出す。
まだガキだった小6の頃、家のゴタゴタのせいで体調が悪くなっても親に言い出せなかった俺は、発熱しているというのに学校に登校してきて、一度学校で倒れたことがある。
そのとき、保健室で目を覚ました俺を心配そうに覗き込んでいたのは、萩原だった。
倒れたとき、ちょうど萩原と校庭で遊んでいたときだったのだが、萩は俺が普段と様子が違うことに朝ひと目会ったときから気付いていたらしい。
俺は、風邪だってバレないように空元気を振りまいていたというのに。
あいつは、昔から他人のことよく見てたよな…
俺は目を覚まして萩原の顔を見たとき、安心したんだよ。
小学生ながらに、あぁ。萩がいるなら大丈夫だ。
そう思った。
両親も、周りの大人も信じられなかった俺は、萩原がいるだけで強くなれる気がした。
唯一無二の友達、だったんだ。