第24章 風邪引き彼氏 ☆
松田side
ぼんやりと目を開けると、そこにはよく知った自分の部屋の天井が見えた。
身体が熱く、呼吸が苦しい。
フーフーと、吐く息も荒く細い。
更に頭がボーッとして、クラクラとめまいさえ起こってる。
「久々に風邪引いたわ…」
ケホ…と咳をしながらポツリとそう溢した俺。
そういや、ミコトは…
さっき、確かにミコトにベッドに運ばれた気がした。
いくつか言葉も交わした気がするけど、よく覚えてない。
辺りを見渡してもミコトの姿は無く、シン…と静まり返っている。
気のせいか夢か、幻だったのかもしれない。
「頭ぼーっとしてっからな…やっぱ、夢見てたのか…」
そう溢して、再び目を閉じて寝ようとしたとき、部屋のドアが開いた。
「陣平くん!気が付いた?」
「ミコト…」
両手に重そうなスーパーの買い物袋を三つも引っ提げて、ミコトは俺が眠るベッドへと走ってきた。
そして、俺の額に手のひらを当てながら心配そうに眉を歪ませた。
「まだ熱あるよ!
寝てないと…」
「ミコト…もしかしてさっきもいたか?」
「?いたよ?
一度スーパーに出かけて、経口補水液とか冷却シートとか色々買ってきたの」
「…夢じゃなかった」
そう言いながら、俺はミコトの身体を両手で抱きしめた。
いつもよりも全然力が入らなくてもどかしい。それでもミコトの匂いが鼻に入って来て何だか安心した気がした。
「陣平くん…?」
「…何でいんのお前…」
「水族館行こうって言ってたでしょ?
っていうか、さっき陣平くん倒れたとき、わたしに水族館行けなくてごめんって言ってたよ?覚えてない?」
「悪い…朦朧としてた…」