第24章 風邪引き彼氏 ☆
この間陣平くんから、零から連絡が返ってこないと聞かされて心配していたけれど、どうやら無事みたいだ。
「一人ですか?松田は?」
「あ、陣平くん今風邪ひいて寝込んでて…」
そう言うと、降谷さんは目を丸くして珍しそうに言う。
「松田も風邪引くんだ」
「みたいですね…」
まるで二人で猛獣を思い浮かべるように笑いながら、会話は続く。
「でも、あいつは幸せ者だな。
風邪の時に看病してくれる彼女がいて。
しかも、その子は未来のドクターだ。」
「…だけど、わたし陣平くんに何を作ってあげたらいいか、わからないんです。」
「え…?」
わたしの言葉に、降谷さんは目を丸くしてわたしを見た。
「確かに、医者として、こう言う時どうすればいいか、人を救うための最適解は持ってます。
だけど…そんなことより、どうやって看病してあげれば陣平くんが安心するのかが知りたい。
今まで、風邪の時何を食べてたのかも…
彼のこと、何にも知らないんだなーって今更自覚しました」
そう言うと、降谷さんは優しく笑った。
「それはこれから、松田に教えていけばいいんじゃないですか?
君が風邪の時に食べるものを。」
「わたしが?」
「はい。そうすればいつか、松田にとっての病人食は、ミコトさんの味になるでしょう?」