第24章 風邪引き彼氏 ☆
やって来たのは近くのスーパー。
併設されているドラッグストアで解熱剤を購入したあと、経口補水液やおかゆの材料をカゴに入れていく。
「陣平くん、何味のお粥が好きなんだろ…」
思えばわたしは、陣平くんの母の味を一つも知らない。
陣平くんの家は色々と複雑だとお兄ちゃんから聞いていたけど、陣平くんの口からその話を聞いたことはないし、彼の両親に会ったこともない。
風邪の時、いつも何を食べていたのかも、わからない。
「彼女なのに、陣平くんのこと何も知らないな…」
自分の無力さにため息が出たそのとき、誰かがわたしの名前を呼んだ。
「あれ?ミコトさん?」
「降谷さん!」
そこにいたのは、お兄ちゃんと陣平くんの警察学校の同期である、降谷零さんだった。