第24章 風邪引き彼氏 ☆
今日は陣平くんと水族館でデートだ。
そして、そのまま彼の家にお泊まりだから、水族館に行く前に荷物を置きに陣平くんの家を訪ねることになっている。
明日の朝まで一緒にいられるの、楽しみだなあ…
水族館の前に植わっている桜、まだ散ってないといいけど…
なんて、今日一日陣平くんと過ごす時間を想像しては、ふふっとニヤけながらわたしは彼の部屋の玄関前に立った。
ピンポーーン
インターフォンを鳴らして、ドキドキしながら陣平くんがドアを開けるのを待った。
が、部屋の中からはうんともすんとも音はしない。
「あれ…?いないのかな…?」
今日、家で一旦集合しよって言ってたよね?
それで陣平くんの家から一緒に出かけようねって話だったはず。
もしかして、それ忘れて水族館に向かっちゃったのかな?
そう思ったわたしは、とりあえず荷物を部屋に入れようと、持っていた合鍵で玄関を開けた。
そしてワンルームまで足を踏み入れた時、ビクッと身体が大きく跳ねた。
見ると、床に陣平くんが倒れているのだ。
「えっ!ちょ、陣平くん?!」
慌てて彼に駆け寄ると、ふぅふぅと苦しそうな息を吐いている。
額に手を当てると、尋常じゃないぐらい熱を持ってた。
「すごい熱…」
「…ミコト…」
「陣平くん、とりあえずベッドに…」
そう言って彼の腕を肩に担ぎ、よいしょ、よいしょと側にあったベッドの上に寝かせた。
そして、冷蔵庫から氷を取り出し、袋に入れて氷嚢を作ると、陣平くんの癖っ毛を上げて額にそれをあてた。
「つめて…」
「あとで薬とか、色々買ってくるから…!」
「…悪いな。お前水族館、楽しみにしてたのに…」
「何言ってるの!陣平くんの身体の方が大事でしょ?!」
医者らしくそう言って叱ると、陣平くんはフ…と口角を上げた後、はあはあと息をしながらゆっくりと目を閉じた。
そして、しばらくするとスースーと寝息を立て始める。
陣平くんの首元で脈を見て、安定しているのを確認したわたしは、彼を看病するための買い出しに出かけた。