第23章 喧嘩のとある日 ☆
そして、俯いて泣くわたしに言う。
「あぁ。そうだな。
好きだったよ」
「…っ…」
堂々とそう認める陣平くんに、わたしは何も言い返せない。
好きだった
知っていたのに、彼の口から聞くと何倍も痛い。
「好きだったけど、俺はお前がいいんだよ。」
「…」
「千速より、ミコトと一緒にいたいと思ってる。
それだけじゃ不満か?」
その陣平くんの問いに、わたしは間髪入れずに答えた。
「っ…不満!!」
「…もう、どうすれば…」
精一杯の愛情表現を、不満だと一蹴された陣平くんは、珍しく困ったように眉を下げた。
そんな彼にぎゅっと抱きつきながら、わたしのワガママが炸裂する。
「…っわたしの名前呼んで、いっぱいキスして、いっぱい好きって言って!
わたしの気が済むまでしてくれなきゃ、許さない」
そう言って陣平くんを睨むと、陣平くんは少し笑って言った。
「お前がもうやめてって言うまで、してやるよ。
覚悟しとけよな」
そしてわたしの身体は陣平くんに抱き上げられてベッドに連れて行かれた。