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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第23章 喧嘩のとある日 ☆




ヒートアップしたわたしが、さらに輪をかけて怒鳴ろうとした瞬間のこと。

陣平くんはわたしの手を引いて映画館のロビーのど真ん中で突然わたしの唇を奪った。


「っ…」


目を丸くして放心状態のわたし。

陣平くんはわたしに優しくキスをした後、べ。と舌を出しながら言う。


「これでも一緒に帰らねえの?」

「…ずるい」


キスされただけで、こんなに揺らぐわたしはどうしようもない。

結局わたしは陣平くんのことが、好きで好きで大好きで、彼には敵わない。

どんなに酷いこと言われても、どんなに怒っていても、たった一度のキスで全部が水に流れていく。


「っ…くやしい!!」


顔を膨らませて、もう一度そう言うわたしの頭をわしゃわしゃと撫でながら、陣平くんは余裕に笑って言った。


「じゃあ、特別に言葉でも伝えてやる。
約束を破って、悪かった。
お前が怒ってる理由もわからねぇでごめん。
お前のことが好きだから、仲直りしたい」


じっと目を見つめられてそんなことを言われると、わたしに抵抗する力はもう少しも残っていなかった。


「…………する」


小さい声で不服そうにそう返事をしたわたしを見て、陣平くんはまたわたしの髪を撫でた。


「よしよし」


このバカップルのくだらない喧嘩に巻き込まれた新出くんは、はは…と苦笑いをしながら会話に入ってくる。


「じゃあ、僕は帰るよ。
萩原さん、食事はまた今度」

「あ!うん。
新出くん、ありがとう…!」


ペコリと頭を下げると、新出くんはヒラヒラと手を振りながらわたしたちから立ち去った。

去っていくプリンスの後ろ姿を見ながら、陣平くんは捨て台詞を吐く。


「食事はまた今度って…
今度はねえっての!」


そう言いながら、陣平くんはわたしの手を引いた。


「ほら、帰るぞ」

「陣平くん…今更だけどその格好浮いてる」

「ご丁寧にどうも」


そんな口喧嘩をしながらも、わたしは大人しく陣平くんに手を引かれるがまま、彼の家に連行された。



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