第23章 喧嘩のとある日 ☆
陣平くんも同じなようで、ひとしきり新出くんをジトーッと睨んだ後、
「…帰るぞ。」
陣平くんはそう言ってわたしの腕を引っ張った。
が、わたしは思わずそれを振り解いた。
「待ってよ!」
「?なんだよ」
「なんだよって…陣平くん勝手すぎる!
わたしに、冷たくしたくせに」
さっきはときめいちゃったけど、わたしが怒ってるのはドタキャンされたことじゃなくて、千速みたいになれって言ったことだから!
それに気づくはずもない陣平くんは、頭の上にはてなを浮かべながらわたしを見る。
「それはさっき謝っただろ?」
「謝って済むなら警察はいりません!」
「…俺、警察官なんですけど」
「それに、わたしはドタキャンされたから怒ってるんじゃないもん!」
このヒントでもう分かるでしょ?
陣平くんが、本当は何に謝らなきゃいけないのか!
そんな上から目線な気持ちで陣平くんをじっと見ると、陣平くんははぁー…っとため息を吐いて言う。
「じゃあ何だよ…ハッキリ言えよ」
「自分で考えなきゃ意味ないでしょ?!
しかも、陣平くんの都合で冷たくしたくせに、勝手に迎えに来てもわたし、はいそうですかって言うと思う!?」
「あーもう、めんどくせえな」
め、めんどくさい!?
めんどくさいって言った?!!
仲直りのきっかけも、何故か喧嘩に変わってしまった。