第23章 喧嘩のとある日 ☆
松田side
「あー。頭痛え」
二日酔いと昼過ぎまで寝ていた寝すぎからくる頭痛に苦しみながらも、俺は家の近くのコンビニにやって来た。
その時、ふとミコトのことを思い出す。
いや、俺だって理不尽なこと言ったって自覚はもちろんある。
けど、眠いもんは眠いんだよ…
そりゃ同僚と飲んでて、次の日のミコトとのデートをすっぽかした俺が悪いけどよ。
ブツブツと言い訳をしながら、ウィーンと自動ドアが開いて店に入った瞬間、よく見知った顔が見えて思わずそいつの名前を呼ぶ。
「千速…」
「あれ?陣平?」
ミコトと萩原の姉である千速がちょうどコンビニでレジを終えて店を出るところだった。
「なーにやってんだ?こんなところで。」
「千速こそ。このコンビニ来るの珍しくねえか?」
「友人が入院して見舞いに行ってきた帰りに突然腹が減ってきてさ
どうにも我慢できなくて途中でバス降りてここに駆け込んだってワケだ」
そう言って千速は店の外に出てすぐに食べるつもりなんだろうアメリカンドッグが入った袋を俺に見せてきた。
そして、今度は千速が俺に疑問をぶつける。
「そう言えば、今日ミコトとデートじゃなかったのか?」
「あー…」
俺が気まずそうに、そしてバツの悪そうに目を逸らしたから、勘の良い千速はギロッと俺に睨みを効かせる。
「テメェ…まさか私の可愛い妹を泣かせたんじゃねぇだろうな」
「泣かせてねぇよ。怒らせたけど」
そう言葉にすると、今朝ミコトが怒った顔が脳裏に浮かんだ。
そう言えばアイツ、映画一人で観に行ったのか…?
あの映画はミコトが見たい見たいと言って聞かなかった医療ドラマの映画版。
俺はぶっちゃけ興味がなくて乗り気じゃなかった分、今日の眠気のほうが勝ったというわけだ。