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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第23章 喧嘩のとある日 ☆




「あれ?萩原さん」

「…え、新出くん!」


声のした方を見ると、新出くんがいた。


「どうしたの?ひとりで」

「新出くんこそ…」

「この近くでセミナーがあって、その帰りに映画でも観て帰ろうかなと思ってね。
せっかくの休日だし、観たかった映画が最終日だったから。
でも、今見たら満席らしいから諦めて帰るところ。」


そう言って笑う新出くん。
観たかった映画が最終日ってことは、わたしが取ったチケットと同じだ。


「…あるよ。席」

「え?」

「わたし、チケット2枚持ってるの。
もし時間あるなら一緒に観ようよ」

「いいのか?」

「うん。無駄にするところだったし、使ってくれた方が助かる。」


その時、ちょうどシアターへの入場が開始されたというアナウンスが入った。


「あ。ほら、もう開いたから行こ?」

「じゃあ、お言葉に甘えて…」


陣平くんのチケットをどうにか無駄にせずに済んだわたしは、そのまま新出くんと並んでシアターに向かった。


映画の内容は、正直思ってた内容とは違っていて、面白さは個人的に50/100点って感じだ。

大好きな医療ドラマの映画版だからものすごく期待していて、何なら全然乗り気じゃなかった陣平くんを無理やり誘ったのに。

こんなことなら、映画なんか観ずに陣平くんの家に一緒に居ればよかったな…

今頃、陣平くんは家でゴロゴロしてるのかな。
帰ったら電話をかけて謝ろう。
なんなら明日は授業だけど、陣平くんのところに謝りに行ってそのまま泊まろうかな。

…でも、あの発言だけは許せない。

ちょっとは千速を見習って大人になれよ。

イラついた様子でそう言った陣平くん。

陣平くんがお姉ちゃんを好きだったこと、知っているからこそ、余計に惨めになる。

大人になれれば、陣平くんに追いかけてもらえるような女の子になれるの?

陣平くんの口から、千速みたいになれ。なんて、一生聞きたくなかった。

わたしのことを、好きだって言ってくれたくせに。


そうやって、映画を観ているくせに頭の中はずっと陣平くんでいっぱいだった。

良いことも、悪いことも、全部陣平くん。


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