第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
わたしはゆっくりと浴室に足を踏み入れ、かけ湯をすると陣平くんがいる湯船に身体を沈ませた。
お湯の中で膝を抱えて座ると、陣平くんの広い背中をつん。と突く。
「もういいよ」
かくれんぼみたい。なんて、呑気に思った次の瞬間、陣平くんがゆっくりわたしの方を向いた。
パシャ…とお湯が揺れて、陣平くんと目と目が合う。
「な…んか、恥ずかしいよね」
そう言って照れ隠しに笑うわたしの頬を、陣平くんの掌が優しく撫でた。
「もっと、くっついていいか?」
「…ん。いいよ…?」
そう言うと、陣平くんはゆっくりとわたしにキスをした。
唇が重なる瞬間、ドキッと胸が高鳴る音が響いて、同時に陣平くんはわたしの手を引いた。
「後ろ、向いて」
「後ろ?」
そう首を傾げて陣平くんに背中を向けると、陣平くんはわたしの身体を真後ろからぎゅっと捕まえた。
まるで、彼に捕獲されたような気分になり、また性懲りも無くドキドキしていると、濡れた肌同士が密着して変な気分になる。
陣平くんの熱い胸板や逞しい腕が、全身で感じられる気分だ。
そんなわたしの肩に後ろから顎を乗せ、陣平くんがわたしの首筋に噛み付いた。
「っん…」
「ミコト…どこ、洗って欲しい?」
「あ…待って…」
どこを洗って欲しい?なんて聞いてきたくせに、陣平くんはやわりとわたしの胸を後ろから揉んだ。
「あっ…じ、陣平くんのエッチ…」
「エッチ?あぁ。そうか。
石鹸つけて洗ってやらねぇとな」
意地悪にそう微笑んだ陣平くんは、わたしの身体を抱き上げて湯船から出すと、鏡の前に座らせる。
そして、陣平くんはその真後ろに座り、またわたしを後ろから抱きしめた。
「ミコト…俺が、綺麗に洗ってやるよ」