第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
「一緒にお風呂入ろ?」
なんて、随分大胆なことを言ったなと自分でも思う。
だけど、そう提案した理由はいくつもある。
早く洗い流したかったし、陣平くんと一瞬でも離れたくなかった。
それに、この旅行を嫌な思い出にしたくなかった。
この先、今日のことは2人の間のタブーみたいになるのも嫌だった。
陣平くんと、忘れられない思い出を作りたかった。
そんな思いから、わたしは今脱衣所に陣平くんと2人でいる。
「んじゃ、入るか。」
そう言って陣平くんは、何の迷いもなしに自分が着ていた服を勢いよく脱いだ。
割れた腹筋に目を奪われたわたしは、思わず顔が赤くなる。
思えば陣平くんと裸で…しかも明るくて狭い場所で2人きり。
これは、わたしの方が理性飛びそうだ…
そう思っていると、陣平くんはわたしを見て首を傾げた。
「脱がねえの?」
「じ、陣平くんが入ったら、わたしも脱いで入る」
この場ですっぽんぽんになる勇気は無くて、わたしは陣平くんを無理矢理浴室へと押し込んだ。
そして、彼が湯船に浸かったことをシルエットで確認すると、自分も服を脱いで行く。
と言っても、さっき陣平くんが着せてくれた彼の服。
わたしの服は破られたから…
さっきのことを一瞬でも思い出すと、またブルッと身震いがするけれど、今から陣平くんに綺麗にしてもらうんだ。と言い聞かせ、わたしはゆっくりと浴室のドアを開けた。
「こっち見ないでね?」
「見ねえよ」
向こうを向いている陣平くんは、さらに自分の目を手で覆ってそう言った。