第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
松田side
ミコトを抱き上げたまま、自分達が借りているホテルの部屋へと戻ってきた。
ベッドに下ろしてやると、ミコトはホッとしたのか、またポロポロと涙をこぼした。
「怖かったな。もう大丈夫だから」
そう言って髪を撫でると、ミコトはブンブンと首を横に振る。
「ちが…うの」
「え?」
泣いてて上手く話せないミコトを落ち着かせようと、俺は隣に腰を下ろして肩を抱きよせた。
その肩を震わせながら、ミコトが口を開く。
「他の人に…っ…下着とか見られ…た
陣平くんに…一番に見せたかったのに…」
「ミコト…」
「裸も見られたの…陣平くんだけだったのに…」
「もういいって。
辛いこと、思い出すなよ」
そんなこと、俺はどうでもよかった。
いや、そりゃ殺してやりてえほどあいつらが憎い。
けれどミコトが無事で居てくれさえすれば、それでいいんだよ。
そう思っていると、ミコトは泣きながら俺を見て縋るように言った。
「嫌いにならないで…」
「なるわけねぇだろ…ふざけんな」
思わず乱暴な言葉を使う俺は、そんな言葉とは裏腹にミコトを抱きしめる腕は優しかった。
「何があっても、お前のことは絶対に嫌いにならねえ。
わかったか?バーカ…」
そう言いながら、俺は泣いてるミコトの唇に自分の唇を重ねた。
ミコトの肩の震えと同じように、唇まで震えていて、より一層愛しくてたまらなかった。
ゆっくりと離して、こつ…と額同士をくっ付けると、ミコトは泣いて赤くなった鼻を啜る。
「じんぺいくん…大好き…」
小さな子供みたいにそう言うミコトに、俺はくっ付けていた額を外して、ミコトの額にキスをした。
「ほら、今日はもう寝ようぜ。
俺が子守唄歌ってやるから」
「や、待って…
お風呂、入りたい…
あの人たちに触られて汚いところ、洗いたい…」
「…そうだな。
それなら、俺は後から入るからお前先に…」
そう言った俺を嘲笑うかのように、ミコトは上目遣いで俺をじっと見ながら言う。
「陣平くんが、洗って?」
「え?」
「一緒にお風呂入ろ?」