第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
そう思って、わたしは咄嗟に裸のまま陣平くんにしがみついた。
「だめ…やめて…」
「ミコト…」
「それ以上殴ったら死んじゃう…」
カタカタと震える身体で陣平くんにしがみつくと、陣平くんは男を殴るのをやめ、わたしのことを優しく抱きしめてくれた。
「間に合ってよかった…」
陣平くんの腕の中が温かくて、わたしはホッとして力が抜けた。
そしてさっきとは違う涙がボロボロ溢れた。
「っ…どうしてここがわかったの?」
「お前が連れていかれるところを、昼間お前が助けた女性たちが見てたんだよ。
あの時、その女性たちに部屋番号を教えていたみたいで、ホテルのフロントに警察手帳見せてここに来たってワケ」
「ふ…っ…陣平くんヒーローじゃん」
「無理して笑わなくてもいいって。
…怖かっただろ」
無理して笑うわたしの頭を陣平くんの優しい手が撫でた。
しばらくして、ホテルの従業員が電話を終えて部屋に戻ってきた。
「警察はあと10分で到着するらしいです。」
「そう。
被害者の事情聴取が必要なら、また後日で頼むと言っておいてくれ。
俺はこいつを連れて部屋に戻るから」
「かしこまりました!
松田様の連絡先を警察に伝えるようにします。」
従業員のその言葉を聞いて、一旦ひと段落したと判断したのか、陣平くんはわたしに上着を着せて抱き上げた。
そして、自分達の部屋へと抱っこしたまま運んでくれた。