第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
ガチャッ
部屋のドアの鍵が開いた。
ハッと見ると、そこにいたのは陣平くんとホテルの従業員。
「じんぺ…く…」
「…テメェら…」
ギリ…と拳を握った陣平くんは、ホテルの従業員に言う。
「警察に電話してください。
俺の名前出していいんで」
「わ、わかりました!」
そう言ってホテルの従業員が部屋を出て行ったあと、陣平くんはわたしの方に自分が着ていた上着を投げた。
「へ…じょ、冗談だよ。ちょっとお仕置きしてやろうと思っただけで。な?」
「そ、そうだよ。
まだ何もしてねぇし」
「お前らバカだな?
どうして俺がホテルの従業員を部屋から追い出したと思う?」
ハハッと不敵に笑いながら、陣平くんは男の胸ぐらを掴んだ。
「止める奴がいたら、テメェらを思いっきり殴れねぇからな」
ドコッ!!
「っふぐ!」
大きな音を立てて、1人の男が床に転がった。
一発KO状態で気を失っているらしい。
そして、もう1人の男が逃げようとするのを陣平くんが腕を掴み、引きずり戻した。
よろけて倒れた男の上に馬乗りになり、陣平くんが何度も拳を振り下ろした。
「今度は殴るだけじゃ済まないと言ったはずだぜ?」
ドコッ…バキッ…
人間を殴る鈍い音が聞こえて、わたしはハッと我に帰る。
このままじゃ陣平くんが殺人者になっちゃう…