第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
食事は予想以上に絶品で、全て綺麗に食べ終えたわたし達は、上機嫌にレストランを出た。
「ご飯、おいしかったね!!カニ!!」
「ああ。カニ食べる時、普通は無言になるのにお前ずっと喋ってたな」
「だって、楽しすぎるんだもん。」
そんな会話をしながら、わたしたちは部屋でお酒でも飲もうとホテルに併設されているコンビニに買い出しに来た。
「陣平くんはビール?」
「んー。レモン酎ハイ」
「わたしは甘いのがいいなー!」
そんなやり取りをしながらカゴに商品を詰め込んだ。
すっかり一杯になったカゴを持ちながら、陣平くんがわたしに言う。
「会計してるから、コンビニの外で待ってろよ」
「うん。わかった」
陣平くんにお会計を任せ、わたしはコンビニの外に出た。
その時
とんとん。と肩を叩かれ、振り返ると昼間の2人組が立っていた。
陣平くんに無視しろと言われたことを思い出し、わたしはツンと顔を背ける。
本当に懲りない人たちだな…
そう思いながらも、触らぬ神に祟りなし。
無視無視。と、携帯を弄っていた。
するとそのとき、突然手が伸びて来て、ハンカチで口を塞がれた。
そしてそれを振り解こうとした時、わたしの視界がぐにゃ…と揺れた。
あれ…
すぐそこにいるはずの陣平くんに、たすけて…そう心の中で叫びながら、わたしは意識を手放していた。
カシャン…と携帯が手から滑り落ちる音だけはかすかに聞こえた気がした。