第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
変なところで正義感が強いのは、お姉ちゃん譲りなのかもしれない。
もしくはお兄ちゃん譲り…いや、どっちもだ。
わたしがそう言うと、男たちは苛立ったようにわたしを睨んだ。
「お前には関係ねぇだろ?
彼氏とせいぜいイチャついてろよ」
「明らかに困ってるでしょ?
放っておけるわけないじゃない!
そんな無理矢理女の子連れ込んで、モテない理由がよくわかるわ!」
「んだと…」
「じゃあテメェが相手しろよ?」
わたしの余計な一言が火に油を注いだらしく、男二人組は声をかけていた女の子たちを諦め、こちらにズンズンと向かって来る。
わたしバカ?!
あの子たちを救えても、自分が危険に晒されたら意味ないじゃん!
人助けとは、往々にして損なものだと今更気づいたわたしだけど、もう取り返しはつかない。
近づいてきた二人組のうちの1人が、わたしの顎に手を添えてぐいっと上を向かせた。
「威勢の良い女は嫌いじゃないけどな。
…ほら来い!」
そう言ってわたしの腕を乱暴に掴み、引きずり連れて行こうとする男たち。
地面が雪のせいで上手く踏ん張ることが出来ず、ズルズルと引っ張られるがままどこかに連れていかれる…
流石にやばい。大声出さないと。
そう思った瞬間、大量の雪がその男たち目掛けて降り注いだ。
ドサッ…
「うおっ!なんだ!?」
「…おっと。」
ハッと見ると、ボードに乗った陣平くんが、スノボの板の力を利用して、ブレーキ時に雪を思い切りぶっかけたのだ。