第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
一緒に旅行に来たのに、陣平くんに我慢させるのは嫌だった。
2人で楽しい思いをしたい。
そんな思いから陣平くんにそう提案すると、陣平くんは少し考えたあと、わたしの頭を撫でながら言った。
「…んじゃ、一回だけ滑ってくるわ」
「うん!気をつけて!」
「すぐ戻って来るから、雪だるま完成させておいてくれよな」
「まかせてよ!」
そう言い残すと、陣平くんはウキウキしながらボードを担ぎ、リフトの方へと走って行った。
陣平くんが楽しそうで、わたしも楽しい。
わたしも雪だるまを作り終えた時、お尻の痛みがマシになってたらまたチャレンジしよう。
さーて、雪だるまの続きだー!
そう意気込んで雪だるま作りを再開する。
しばらく無心で雪玉を大きくしていると、すぐそばから女の子の声が聞こえてきた。
「や、やめてください!」
「いいじゃん。俺たちと遊ぼうよ?」
「今日の夜、俺らの部屋に来ねえ?」
見ると、朝のチェックインの時にホテルでわたしをしつこく誘おうとしていた人たちが、女の子2人組を捕まえてしつこく言い寄っている。
「まーたあの人たち!」
思わず手に持っていた小さい雪玉をその人たち目掛けてえいっと投げると、運悪くそのうちの1人の頭にボスっと当たった。
やば!
と思ったその瞬間、雪玉をぶつけられたその男は怒りながら振り返った。
「誰だ!!」
まさかわたしの投げた球が当たるとは思っておらず、マズイ…と血の気が引いていく。
こうなったら仕方ない。
とりあえず、この嫌がってる子たちから撤退させないと。
「…嫌がってるんだがら、やめてあげてください」