第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
カレーを食べ終わると、わたしたちは雪だるまを作るために、斜面になっていない平面のところに腰を下ろし、雪をかき集めて球体を作り出した。
「ゆきだるまつくーろー」
「ふ…なんだよその歌」
「え?アナ雪だよ!知ってるでしょ?」
「…アナ雪?」
ハッ!
アナ雪が公開されたのは、陣平くんが殉職してからだ!!!
そう思い出したわたしは、慌てて誤魔化す。
「ええっとー!なんかアユの妹が通ってる幼稚園のオリジナル曲でー…
みんなこれ歌いながら泥団子を作って遊ぶらしいよ???」
「…変な幼稚園」
なんとか誤魔化せたものの、気を付けないとな…
思わず、自分は未来からタイムスリップして来たんだと言うことを忘れそうになる。
そのぐらい、陣平くんと過ごす新しい毎日が、
わたしにとって当たり前の日々のように感じるから。
雪だるまを作りながら、陣平くんをちら…と見た。
さすが器用な彼。
木の枝を使って雪だるまの顔を彫刻している。
そして、ボードで滑りたくてウズウズしているのか、さっきから斜面を滑り降りてきた人たちを見ては、羨ましそうな目を向けている。
きっと、もっと滑りたいんだろうな…
わたしに合わせて雪だるまを一緒に作ってくれてるけど…
そう思うと途端に申し訳なくなる。
「ねえ、陣平くん。
陣平くんは、ボード滑りたいでしょ?
滑ってきていいよ?わたしここで雪だるま作ってるから」
「いいって。俺も雪だるま作るから」
陣平くんは優しい。
その優しさについついいつも甘えてしまうのがわたしの悪い癖だ。
「でも、陣平くんスノボ好きなのに…
せっかく来たんだし、陣平くんにも楽しんで貰いたいよ。
わたし、ちゃんとここで待ってるから」