第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
陣平くんに手を引かれ、スキー場のレストランへと足を運んだ。
ゲレンデのカレーは美味しいと聞いたことがあるから、迷わずそれを注文したわたし。
隣を見ると陣平くんも同じカレーを注文していて、思わず笑ってしまった。
椅子に座ると、転びまくってお尻が痛い。
カレー食べ終わったらまた転びながらスノボか…
「はぁ…」
自分の運動神経の無さに辟易とする。
学生の頃から、体育の成績はずっと2
運動会のかけっこもいつもビリだった。
萩原家は父も母も、兄も姉も全員運動神経がいいのに、わたしだけ突然変異で運動音痴が生まれたと言うわけだ。
お兄ちゃんやお姉ちゃんの運動神経の良さを1ミリでいいから分けてほしかったよ…
そしたら陣平くんと仲良く楽しくスノボできたのにな。
しゅんと下を向きながらカレーを口に運んでいると、陣平くんも同じようにカレーを食べながら言った。
「食い終わったら、雪だるまでも作ろうぜ」
「…雪だるま?」
「あぁ。お前初心者なのに、無理させすぎたからよ。
…悪かったな。お前とスノボ来れて舞い上がってた。俺。」
「陣平くん…」
陣平くんの気遣いが優しすぎて、思わずぎゅーーんと胸が高鳴る。
「うん!雪だるまつくる!!」
「決まりだな」
陣平くんはそう言って笑うと、わたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。
昔から少しも変わってない愛しい撫で方で、わたしの方を屈託のない笑顔で見ながら。